大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和37年(オ)1460号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人中山酉蔵の上告理由について。

上告人と被上告人らの先代絢吾との間に成立した契約は、上告人が右絢吾から債権の取立を委任され、更に絢吾から右債権の取立の目的を達成するため絢吾の提起する訴訟につき弁護士を選任し、仮差押並びに仮処分申請の手続をなすの件及びこれらの事件につき和解等による解決の一切を委任され、右債権の取立に成功すれば取立金額から訴訟費用を控除した残額の半額を報酬として受取るという趣旨のものであると認定した上、弁護士の資格のない上告人が右趣旨のような契約をなすことは弁護士法七二条本文前段同七七条に抵触するが故に民法九〇条に照しその効力を生ずるに由なきものといわなければならないとし、このような場合右契約をなすこと自体が前示弁護士法の各法条に抵触するものであつて、右は上告人が右のような契約をなすことを業とする場合に拘らないものであるとした原判決の判断は、当裁判所もこれを正当として是認する。所論は、種々論議するが、ひつきようするに、原審に任せられている事実認定に関する専権行使を非難するか、或は原判決の示した右の法律上の所見に反する独自の見解を述べるか或は原判決を正解しないものであつて、採用するを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤朔郎 裁判官 長部謹吾)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例